現在は濵田さんと本宮さんがお店に立ち、宮原さんが野菜づくりと製麺を担当しています。元々は宮原さんがラーメン店でアルバイトをしていた経験があるだけで、他の2人はラーメンに関してまったくの未経験者でした。でも、修行経験がないままラーメン店を始めることに不安はなかったと言います。「僕らは料理のプロじゃなくて、提案のプロ。もちろん料理を提供する以上、必要な技術はあるしそれを疎かにするわけではないけれど、大切なのはお客さんの日常を楽しくさせるような1杯を提供することなんです」。それに経験がないからこそ、斬新なアイディアも生まれます。たとえば、『RIRAKU』では当たり前の「ラーメンのスープに途中でバジルを入れる」という食べ方も、既成概念にとらわれない彼らならではのアイディアです。
またこうした面白い発想が生まれるのは、3人でチームとなって動いているおかげでもあります。「僕らがやっていることは1人ではできないことなので、チームという意識は常にあるけれど、仕事のときはお互い友だちという感覚を捨てるようにしています。じゃないと生ぬるい仕事しかできなくなるんです」と本宮さん。その意識は新メニューを試作するときにも役立っているよう。「試作したとき、僕と本宮はつくっている立場だから主観が入ってしまう。でも、宮原の意見は客観的でお客さんに近いから、参考になる。そういう意味でもこの3人はバランスがいいんです」と濵田さんは言います。
2012年上之園町に1号店(現在は休業中)が、2014年には天文館に2号店がオープンした『RIRAKU』。カウンター席のみだった1号店に対し、2号店はテーブル席や大きなキッチンも加わり、調理や表現の幅も広がりました。でも「どこで店を構えようと、行き着くところは同じ」と3人は言います。そこには彼らが目指す揺るぎないテーマがあるのです。
3人の働きぶりを見ていると、彼らが心から仕事を楽しんでいることが伝わってきます。彼ら自身が『RIRAKU』に深い愛情を注ぎ、「もっと面白いことができるんじゃないか」と期待して、日々新しい可能性を追い求めているように思えるのです。丹精込めて育てた野菜が次はどんなものと「融合」して、その結果何が生まれるのか。それを彼らがどんな形で提供してくれるのか。私たちが『RIRAKU』の展開に期待せずにはいられない理由は、そんなところにあるのかもしれません。
『RIRAKU』
〒892-0842 鹿児島市東千石町15-14
ミノダビルB1F
営業時間/11:30〜16:00、19:00〜22:00
定休日/水曜
写真:
『クラシック(全部のせ)』は『RIRAKU』の原点。