沈壽官窯 || Chin Jukan

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沈壽官窯とモノづくり

指宿白水館 薩摩の歴史を指宿から世界に

白水館のエントランスでは季節の花々がゲストを出迎えてくれる

世界の重鎮をもてなすという重責。

 そうした流れの中で、指宿白水館にもさまざまな出来事が起こります。中でも一番大きかったのは、韓国のノ・テウ元大統領と小泉前首相による日韓首脳会談の会場になったこと。首脳会談がこうした民間の場で行われるのは前代未聞でした。「特にセキュリティーに関してはさまざまな要望がありましたが、首脳会談のために施設を変えるということはあえてせずに、人の力でカバーしました。旅館でもできるんだと証明したかったんです」。

 さらに、『華やかさと素朴さを演出すること』をおもてなしのテーマに掲げ、料理やサービスに反映させました。「お父様が鹿児島出身である小泉元首相は、鹿児島のことを「自分のふるさとだ」とおっしゃっていたので、料理や器に素朴で懐かしい雰囲気を取り入れました」と会長。その結果、当日は終始リラックスした雰囲気で首脳会談は無事終了。その他にもロシアのエリツィン元大統領をはじめ、今までに数多くの著名人がここに宿泊しました。こうした重責を担う経験もまた、指宿白水館を育てていったのかもしれません。

『薩摩伝承館』を歴史の語り部に。

 2008年指宿白水館の敷地内に、ある建物が完成します。水面に浮かぶその美しい建物こそ薩摩伝承館です。美術品、特に薩摩焼の愛好家である名誉会長と会長が、親子二代に渡って収集した約3000点のコレクションを公開する場として開館したのです。きっかけになったのは、2000年に『黎明館』で開催した展覧会でした。「展覧会をしたことで、薩摩焼は薩摩の歴史そのものなのだと実感しました。こんなに素晴らしい歴史の語り部が手元にあるのに、所持しているだけでは自己満足で終わってしまう。だから全世界に薩摩を、指宿を発信できる場所を作りたいと思ったのです。15代との出会いもそのときだったんですよ」と会長。

薩摩伝承館では婚礼も行われる。撮影スポットとしても最高のロケーション

 薩摩伝承館のテーマは『本物志向』。建物には昔ながらの日本瓦や無垢の木を使い、伝統的な日本の建築美を表現しました。建物のイメージは京都の平等院鳳凰堂なのだとか。「平等院鳳凰堂は、10円玉の裏側に描かれているでしょう?幼少の頃、小遣いでもらった10円玉をいつも眺めていました。月日と共に魅力が増す平等院のような建物が理想だったんです」。こうした下竹原会長の憧れは縁を呼び、平等院の藤の木を2010年に株分けしてもらったのだそう。門外不出の藤の木が株分けされるのは異例のこと。「実際に平等院の神居文彰ご住職にお越しいただいた上で貴重な藤の木を分けていただけたことは、本当に光栄でした。認めていただけたというか、自分たちがやろうとしていることの意義のようなものを感じましたね」。

 下竹原会長は、館内の展示方法にもこだわっています。「展示するのではなく、室内装飾として薩摩焼を使いたかった。そもそも薩摩焼が世界で絶賛されたパリ万博の時代、ヨーロッパのコレクターたちは室内を飾るために薩摩焼を買い求めたのですから」と下竹原会長。貴重な美術品を誰もが手に触れられるような距離に置くことに、当初は反対の声もありましたが、「人をもてなすのが私たちの仕事。だから、美術品も人の力で守りましょう」という会長の一言に、最後は皆が共感したそうです。

 ここでは薩摩焼ならではの貫入(表面の細かなヒビ)の美しさや細やかな絵付け、色合いなどを間近に見ることができます。美術品と見る者を隔てるものが何もない状態にもかかわらず、開館以来、破損などのトラブルは一度もないそう。『本物』を粗雑に扱う人はいないのですね。

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