豊かな自然に恵まれた鹿児島県日置市日吉町に蔵を構える小正醸造株式会社。 小正醸造は、「さつま小鶴」をはじめ、数多くの本格焼酎を生み出している蔵元です。そんな小 正醸造の創業は明治16年。今年は創業130周年という節目の年です。沈壽官窯は、4代目であり 現在専務取締役を務める小正芳嗣さんのご依頼を受け、社員向けの社章を制作しました。
小さな薩摩ボタンを彩るのは、小正醸造のロゴマーク。「弊社のロゴマークは、小正とメイン 銘柄である『小鶴』の『小』の字と鶴のシルエットをイメージしているんですよ」と小正さんは 言います。白薩摩にブルーのロゴが映えて、ノーブルな印象を与えていますね。
試作段階では四角形でサイズももう一回り大きかったそうですが、小正さんがこの形や大 きさにこだわったのには、理由がありました。「沈壽官窯の薩摩ボタンの美しさに魅了されて、 今回社章をお願いしたんです。だから、薩摩ボタンのイメージになるべく近づけたかったんで すよね」。
試行錯誤の末に完成した社章に小正さんも大満足!でも、実は小正さんご自身はこの社章 を持っていないのだそう。それは、社章の贈呈対象者は、勤続20年以上の社員だから。「残念な がら私は対象外なのですが、長きに渡って弊社に貢献してくれている社員たちが、とても喜ん でオフィシャルな場でつけているのを見るとつくって良かったなと思いますよ」と小正さん は笑います。
そもそも小正醸造と沈壽官窯との出会いは、5年前にさかのぼります。きっかけは、小正醸造 が「美山窯元祭り」のメインスポンサーになったことでした。「焼酎と薩摩焼は、鹿児島の歴史・ 文化を背負っているという意味では似ているんです。400年の歴史を継承するという重責を 担いながら、新しいことにも挑戦し続ける15代の姿勢やざっくばらんな人柄にも惹かれて、よ く相談もさせていただいているんですよ」と語る小正さん。小正さんにも、自社の伝統を受け 継ぐだけではなく、焼酎の聖地・鹿児島の蔵元として考えるところもあるはず。ふたりでお酒 を酌み交わしながら、将来のビジョンについて語り合う姿が目に浮かびます。それでは小正さ んが考える小正醸造、ひいては焼酎のビジョンとはどのようなものなのでしょうか。