壁という壁、全てが輝くモザイク・タイルという高さ1センチ、幅2センチ程の小さな陶片でうめつくされている。
イスタンブールのブルーモスクも素晴らしいし、そもそも本来、モザイクと言えばイタリアのラベンナという街が有名である。
ラベンナはアドリア海に面した港街、長靴の形をしたイタリア半島の丁度、ふくらはぎの辺りになる。
故に、イタリアにも素晴らしいモザイク壁画は数多くある、が、そのいずれも比較にならない程、豪華である。
キリストの一生を描いているが、実に見事としか表現出来ない。
マチス(印象派の画家)がこの青に惚れ込んだのも解る。
本当にあの粗っぽいロシア人が造ったのか…?と驚いた。
やはり、イスラム教とキリスト教の二つの良いとこを併せ持っている様に感じる。
しかし、ふと思った。
このロシア人に日本の桂離宮とか、萩焼の大名物茶碗なんかを見せても、『なんだこれ?汚ねぇし、小せぇな…』位しか思わないかもしれない。
あの『侘び』『寂び』といった無常観の美意識は残念ながら、我々アジアだけの宝だ。
教会を一人出て、さっき450ルーブル払った場所に戻った。
ふと目をやると、何処かの国のカップルが、やはり金額を聞いて、エッ?という表情をみせていた。
それから一瞬顔を見合わせて互いの覚悟と腹の内を探っている…。
彼氏は明らかに『高ぇな…、止めようぜ』しかし彼女はさっさと財布を取り出した。
それを見た彼氏も慌て財布を出していた。
それを少し離れた場所から見ていて、あぁ、運命の分かれ道だけど、この男、彼女に付いて行った方が幸せが開けるな…って思った。(笑)
