個展終了。

15代日記 | 2011年1月26日

昨日の午後四時をもって個展は終了した。
懐かしい顔、初めてお会いする顔、多くの方々と触れ合った激動の1週間だった。
新館7階の『歴代沈壽官展』と掛け持ちだった分、かつて無い高ぶりと忙しさの中での毎日だった。

お陰様て無事に終える事が出来、スタッフのサポートに心から感謝している。

それにしても田舎者にとって、10日間近くの百貨店滞在はきつい。
まず、百貨店には窓が無い。
従って外の様子が全く分からないのだ。
常に人工の灯りの下で過ごすわけで、所謂、体内時計が機能しない。
加えて慣れないスーツに革靴履いて、ほとんど立ちっぱなしだ。
知られてはいないが、意外にタフな職場なのだ。

少しづつ、少しづつ披露は溜まっていく。
今、羽田で搭乗を待っている。
早く故郷の山々に会いたい。

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有難いことに

15代日記 | 2011年1月21日

日本橋三越で開催中の『沈壽官歴代展』に沢山のお客様に来ていただいている。
百貨店サイドは1日約1000人程度の来場者を予定していたが、初日から3000人の来場で、連日それが続いている。

有難い事だ。

今回の展示会は410年前に韓国より伝わった陶芸が鹿児島で薩摩焼として成長し、やがて日本の近代化の潮流の中で世界市場へと翼を拡げていった様を解説的に展開している。
薩摩焼の事を知らなかった方も沢山おられる中で、1月16日(日)9時からの『新日曜美術館』が非常に良い呼び水になったと、しみじみ思う。

司会の姜 尚中さんは素晴らしい人だった。
穏やかに相手の話を受けて、相手の言わんとする所を簡潔にギュッと要約してくれる。
だから、次に話を継ぎやすいのだ。

世の中には『要するに!要するに!と言いながら、話を更に複雑にする奴がいる。全く要してない。
かと思うと、日本語を知らない外国人に、大声でゆっくりと日本語を話している奴もいる。
相手は耳が遠い訳ではないのだ。

その点、姜さんはまるで違う。
深く理解しようと、全力で考えてくれる優しさに満ちている。

故にかなりモテるらしい。
成る程、だろうな…と思う。

誰だって、深く理解されたいし、自分が自分を理解る以上に自分を理解ってくれる人がもしいたら、かけがえのない素晴らしい存在だ。

姜さんの人としての魅力はそこにあるんだと思う。

『新日曜美術館』は23日(日曜)夜8時からNHK教育テレビで再放送されます。

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さしむかい

15代日記 | 2011年1月17日

『さしむかい』とは私達、沈壽官窯で製作されている黒ヂョカのセットだ。
黒ヂョカとは正しくは黒茶家と書く。
語源は不明。

薩摩では煮炊きをする陶製の容器を茶家(チョカ)と呼んでいた。
チャカではない。

古くは山で煮炊きをする大型の大山茶家、薬を煎じる薬茶家、焼酎をお燗して飲む焼酎茶家、お茶を沸かして飲む茶茶家等があった。
そして『さしむかい』は焼酎茶家のセット(茶家、炉、ぐい飲み二個、計量カップ・計18900円)である。

これで焼酎を飲むと抜群に旨い。

暖める事で遠赤外線が出て、焼酎の味をまろやかにするのだ。
焼酎愛飲家の方には是非とも奨めたい。
身贔屓の様だが自信があるのは、某蔵本が蔵子三十人に目隠しで利き酒をさせたところ、二十九人が私達の黒茶家を選んでくれたからだ。
可笑しかったのは、そのうち一人が『工場長、これ何処の焼酎ですか?』と真顔で聞いた事だった。

というわけで、今年の元旦の南日本新聞の読者プレゼントにこのセットを二セット出させて頂いた。

すると、なんと千通を越える応募があった。
名前と住所だけのものが多いが、中には切々と欲しい理由が書かれているものがある。
焼酎大好きなおじいちゃんに孫から、父親の還暦の祝いに感謝を込めて娘から、最近、疲れ気味の旦那さんに奥様から、成人した倅と父親が飲むために、亡くなった父親を思い出して……、と様々だが、いずれも情景が目に浮かぶ様で、本当に応募して下さった皆さんに差し上げたいと心から思った位だった。
と同時に、このインターネットの時代にこんなに手書きの葉書を沢山頂き、別の意味でも感動だった。

改めて、ご応募下さった方々に感謝します。

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稲荷神社

15代日記 | 2011年1月6日

町内にある稲荷神社の宮司は大の親友で、新年の初詣は必ず行くことにしている。
今年も家族で詣でた。

神様に手を合わせ、柏手を打つ。熊手を買い込みおみくじを引く。
恒例の流れだ。
五十円のおみくじは付録が付かないが、二百円の方は小さな金色の招き猫やら小判とかが入っている。
みんなで二百円のおみくじを引いた。
長男『おっ!大吉だ!』
私『おっ!俺もだ!やった!』、しばらく読んでたら
長男、『お父さん、見せて』
私『いいよ』
長男『?……』
私『…?』
長男『お父さん、同じだよ』
私『何が?』
長男『俺達のおみくじ。同じだ』
私『…』。

全く同じだった。

喜びが少しだけ消えていった。

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『車起こし』

15代日記 | 2011年1月4日

いよいよ今年も本格的にスタート。さぼってたブログも漸く再開。

昔から我が家では、1月2日は『車起こし』と言ってロクロ(車)を始める事になっている。
窓越しに雪が残る冷たい景色を見ながら、冷たい部屋で冷たい水に手を浸し、冷たい土を触る。
手がかじかんで上手く指が動かない。かといってお湯を使うと後から手がガサガサになりアカ切れになってしまう。
次第に気にならなくなって来るのを待つしかないのだ。

今年は京都で焼き物修行中の長男が帰省、一緒に練習するというので、色々と話ながらの楽しい『車起こし』だった。

去年の四月から始めたばかりだし、要領の極端に悪い奴なので、勿論まだまだなのだが、こればかりは時間が必要。
腐らず、焦らずやり続けて行く事が大切なのだ。そうすれば何とかなるものだ。

回転に幻惑されず、回って帰ってくる土を待ち受けるのだ。

以前、父から言われた。
『回転するロクロの見えない芯を探せ。人生も同じだ。周りに振り回されず、ブレない事だ』

残念ながら私はブレっぱなしの人生だが、 息子と並んで仕事が出来る事はありがたい。
幸福な一時だった。

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謹賀新年

15代日記 | 2011年1月1日
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暮れの30日から降り始めた雪は元旦の今朝、美山の我が家をスッポリと包み込んでくれた。

鹿児島ではめったに見れない、柔らかで艶の無い、まるで歯磨き粉みたいな色の雪の山を見ていたら、一編の詩を思い出した。我が家にある山岡鉄舟の詩だ。
彼は明治維新の時、勝 海舟と西郷隆盛の会談を周旋し、江戸を戦火から救った人物である。

『積雪楼台増壮観 近春鳥雀有和聲』(積雪の楼台 壮観を増し 近春の鳥雀 和声有り)。つまり積雪の中に立つ楼台は普段にも増して壮観である。そして春が近いのを知る小鳥たちの鳴き声はどこか和らぎを感じる、という意味だ。

風情のある、実に清潔て強い詩だ。

山岡鉄舟は当初、箱根に陣取る倒幕軍に単身乗り込み『幕臣、山岡鉄舟罷り通る』と大音声で言いながら、驚く倒幕軍の中を進み、西郷に直に面会したらしい。しかも西郷がつまらぬ男ならば、その場で切り捨てる積もりでいたのだ。西郷の傍らに、あの「人斬り半次郎・桐野利秋」がいても…である。

明治の壮士の気合いと柔らかく優しい雪。 コントラストが美しい。

元旦に感じた事を書いてみた。

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