回るロクロ

15代日記 | 2009年4月27日

133-1
 藤沢さいか屋で個展中。
 あまりに暇(笑)なので、久しぶりにブログ書いておこう。
 世の中は不景気風が吹き、僕等の展示会も同様だ。
 けっこう頑張った積もりだったが、やはり壁は厚い。
 こうなると、ああすれば良かった…とか、こうなったのは、そもそも…と、後悔と責任転嫁が沸き出てくるのは世の常。
 決してそうならぬ様に自分を戒めよう。
 
 まぁ、こんな時代も生きてるうちには何度かあるんだろう…。
 
 明治維新に比べたらチョロイもんだと思う。
 今の状況はアメリカ・ウォール街発の巨大金融詐欺の尻拭いに過ぎない。
 その点、明治維新は文明の衝突だった。
 その衝撃の物凄さは想像を絶する。
 あらゆる物を破壊し、ずらし、消滅させ、終には日本のDNAすら組み換えてしまったのだから。
 
 こんな時はとにかくぶれない事だ。
 どっしり深く根を張り、正しく進むこと。
 昔、父が言っていた言葉を思い出す。

 『回るロクロの動かぬ芯になれ』
 深い言葉だ。

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こんな詩に出会った。

15代日記 | 2009年4月2日

 大人になるということは
 すれっからしになることだと
 思い込んでいた少女の頃
 立ち居振る舞いの美しい
 発音の正確な
 素敵な女のひとと会いました
 そのひとは私の背伸びを見すかしたように
 なにげない話に言いました

 初々しさが大切なの
 人に対しても世の中に対しても
 人を人と思わなくなったとき
 堕落が始まるのね 墜ちてゆくのを隠そうとしても 隠せなくなった人を何人も見ました

 私はどきんとし
 そして深く悟りました
 大人になってもどぎまぎしたっていいんだな
 ぎこちない挨拶 醜く赤くなる
 失語症 なめらかでないしぐさ
 子供の悪態にさえ傷ついてしまう

 頼りない生牡蠣のような感受性
 それらを鍛える必要は少しもなかったのだな
 年老いても咲きたての薔薇 柔らかく
 外にむかってひらかれるのこそ難しい
 あらゆる仕事
 全ての仕事の核には
 震える弱いアンテナが隠されている きっと…
 わたしもかつてのあの人と同じくらいの年になりました
 たちかえり
 今もときどきその意味を
 ひっそり汲むことがあるのです

 茨木のり子『おんなの言葉』より

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15代日記 | 2009年4月1日

131-1
 お花見最盛期の様だ。
 学生時代、酒盛りのネタで友人に誘われるまま花見をして以来、一度もやってない。
 僕の性格は他人が大いに盛り上がっといると、逆に冷めてしまうものらしい。
 こうゆうのを『へそ曲がり』と言うのか…。
 ただ、そんな自分をひいき目に見ても、あの『花見焼き肉』は頂けない。(笑)
 先日、次男と二人で桜の名所をドライブした。
 あんまり綺麗なので、二人で歩く事にした。
 殆んどの桜の木には『〇〇土木60名、3月22日 6時』なんてのが結んだあったし、中にはブルーシートを張り、二名ほどの場所の見張りを置いてある会社もある。
 「やれやれ…、無粋とはこんなものかな…」と思いながら歩いていると、肉が焼けて、垂れた油が焦げた濃厚な臭いが、辺り一面に立ちこめている。
 そこには男女十名程が桜の下で、酒ビール飲みながらの焼き肉パーティーだった。
 「花見と云えば、何といっても焼肉だろう」と何の迷いも無い、方々によって燻された煙は、桜の園に充満していた。
 今や肉屋がセッティング、撤収までしてくれるらしい。
 まさに無粋ここに極まれリだ。
 ニオイが服や髪に付くのが嫌になって、更に桜が可哀想で次男の顔を見たら、あいつもこちらを見て、『ちょっと…このオジサン、オバサン達はな…』って感じ。
 そこで、場所を変えて、桜を遠くから眺める事にした。
 その結果二人が分かったこと。
 桜は離れた所から、しかも上から見るものだと云うことだ。
 
 次男は今年、受験に失敗した。
 「お前の桜は散ったな…」としみじみ話したら、明るい顔で「うん、でも今までで一番手応えがあったんだよ」と言われた。
 僕は何も言えなくなった。

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