トカラ列島

15代日記 | 2009年7月21日

 鹿児島県のトカラ列島で46年ぶりの皆既日食が見れると云う。
 宝島、諏訪ノ瀬島、悪石島、硫黄島等々、鹿児島県本土から南にネックレスの様に連なる島々、トカラ列島。
 不思議な名前だ。
 正式な漢字は携帯では表せない。
 『と』は『渡』、『から』は『唐』に由来する、つまり中国との強い関わりを示すのだ、との説もあるが分からない。
 ただ、この島は学術上『道の島々』と呼ばれているのだ。
 古代から中国文化を黒潮に載せて運んできた。
 デイゴの赤い花が咲くと琉球船がやってきたらしい。
 沖縄の久米島から次の島を目視し、風を駆って薩摩まで北上出来たらしく、北九州の遺跡から出土する甕棺に埋葬されている古代人の腕に巻かれているコホウラ貝の腕輪も、皆この辺りの海域の産であるらしい。
 弥生の先進的技術と引き替えにしたのだろう。
 更に、これらの島々に伝わる伝説や芸能は圧倒的で、生き生きと海の民の歴史を語ってくれる。
 多くの文化が朝鮮半島から寄せられたと云われる中、この島々は文化伝播のもう一つの道、つまりミクロネシアや中国からの道として、日本の文化人類学史上に於いて、又、古代史をひもとく上でも極めて重要な地であるのだ。
 しかし、例によってマスコミは、当日は曇るかも知れませんとか、見ると目が潰れますよ!(これまで皆既日食で失明した人を出演させて欲しいが…)、とか、ヨットで侵入した者がいるらしいとか…繰り返すだけで、その島の歴史や文化なんて一言も知らせない。 
 気がついてないのか、知らないのか…、或いはそんな事は関係ないのか、つまりは絶海のド田舎島扱いだ。
 北上した文化より南下するリゾートに浮かれてる。
 そこに暮らす人々、そしてそこに伝わる暮らしに敬意を払う事から始まるものがある筈だ。
 
 悪石島には『ボゼ』と呼ばれる神が棲む。
 その巨大かつ異様な姿は秋田のナマハゲを遥かに凌ぐ恐ろしさだ。

 幼い頃、一度写真を見て、夜も眠れぬ程、心底怯えた。
 
 那覇の友達から電話。
 今年はデイゴが満開だそうだ。
 つまり台風の当たり年。
 やはり皆既日食は天変地異…の前兆か。

 旅人は決して、『ボゼ』の怒りに触れてはならない。

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