ソースカツ丼

15代日記 | 2008年11月14日

 福井では八木君の会社の車で終日観光をさせてもらった。
 黒塗りの社長専用車シーマに運転手付きだ。
 さらにそれだけでは足りないと思ったのか、彼の美人秘書、西本さんも同行してくれた。
 黒塗りの高級車、スーツ姿の白髪の運転手、すらりとして、有能な美人秘書、僕には似合わない図であるが…ふふふ。

 さて、朝倉一乗谷は四百数十年前に織田信長に焼き尽くされた越前の主、朝倉一門の中心地であった。(因みに後世、佐々木小次郎が秘剣『つばめ返し』を編み出したのは、この奥の一乗滝であるらしい。)
 焼き討ち後、水田になっていたのを国が全て買い上げ、泥土を除き、遺構を発掘していた。
 信長が焼き討ちした後、この地を治めた柴田勝家は福井に住んだため、四百数十年前の遺物が後世の混入無く残っている訳で、他の遺物との比較時代考証をする上で、極めて貴重な指針になるのだろう。
 
 来年は植樹祭で天皇陛下がいらっしゃるらしく、急ピッチでお迎えの準備がなされていた。
 ガイドのおばちゃんは自分が天皇家に生まれなくて良かったとしみじみ言っていた。
 僕も、このおばちゃんが天皇家に生まれなくて良かったと心底から思った…。
 おばちゃんはマタギの娘で、しかも僕らの運転手さんが、偶然このマタギの弟子であった為に、解説の合間に、夜間、遺構に侵入したらしいイノシンの経路や頭数、過去に仕留めた大物自慢に話が直ぐにズレる。
 イノシンが鼻を土に突っ込んでミミズを探すのだと言う。
 別に発掘に協力している訳では無い。
 
 故郷を愛するおばちゃんの熱弁で、予定を大きく過ぎてお昼だ。
 
 昼食は福井名物『ソースカツ丼』である。
 何ともビミョーだ。
 何故ならば、そのまんまの味なのだから…。
 丼ご飯の上に薄いメンチカツ三枚、それにゆるいソースがかかっている。
 所謂、天丼のタレの感じだ。
 まずはカツ二枚をひっくり返した丼の蓋に移し、残りを更に備え付きのソースにつけ食べる。
 ご飯にも勿論ソースがかかっている。
 
 女性達も当然と言わんばかりに、この衣に秘密があるとか、うちの子は、カツ抜きでも食べるとか(それはソース丼だ)…と、愉しげに食べている。
 これが福井の『カツ丼』だ。
 あの玉子とタマネギをダシに溶き、それでカツを包むといった類いの丼は無い。
 なんと目玉焼きもソースで食べるらしい…余程のソース好きだ。
 そういえば、僕より一回り上の団塊世代と呼ばれる方々はチャンポンにもカレーにもソースをかけていた…。
 あの人達なら福井の『ソースカツ丼』にご満悦かも知れない。
 超A級グルメの『越前蟹』と超B級グルメの『ソースカツ丼』…、面白い土地だ。

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